早稲田大学交響楽団(通称:ワセオケ)のヨーロッパツアーに同行、各地で「日本太鼓とオーケストラのための[モノプリズム](作曲:石井眞木)」を演奏する旅で、全9公演中すでに4公演まで終了。
非常に濃厚で楽しい旅の真っ只中でありますが、この旅のレポートはまた次にということで。
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ドイツに発つ1週間前、ひさびさに東北(宮城〜岩手)へと運転一人旅に出た。
コロナ禍を挟み、長らくご無沙汰している東北各地の「大切な人達」との再会を果たすためである。
(南三陸・歌津地区の港)
まずは気仙沼へ。
東日本大震災の翌年、かりん(25絃箏・うた)と東北各地を訪問した。
気仙沼港からほど近い旧・中心街の一角にあるお茶やさん(震災で1階は完全に浸水)の店舗を借りてライブを行った時に出会ったのが[太鼓楽舎・ね]のSさん。
Sさんは地元のみなとまつり「打ちばやし大競演」を主導、気仙沼の太鼓シーンを牽引されている方で、出会い以後 幾度となくライブやワークショップの開催に力を貸してくれている。
ランチしながら互いの近況を話した後、彼の地の太鼓秘密基地「猫の穴」へ移動、[ね]のメンバーさんたちと稽古した(そこそこ濃厚なプチワークショップになってしまった 笑)。太鼓に向かい一緒に汗を流すことで数年間の空白が一気に埋まってしまうのだから、不思議なものだ。
(太鼓基地・猫の穴にて 左がSさん)
つづいて石巻へ。
現地のミュージシャン・四倉由公彦氏と再会。
2016年に石巻のライブハウス「ラ・ストラーダ」での鈴木亜紀(女子シングル自由型ピヤノ弾き語り)とのライブに来てくれたのが最初の出会い。
地元の郷土芸能と深く関わりながら独自の音楽活動を展開している人で、彼の音楽制作については以前から興味があり、いろいろ話を聞きたいと思っていた。今回ご自宅のスタジオにお邪魔し創作のプロセスを見せてもらったり、太鼓の話から芸能談義、さらに話題は合気道まで飛び、美味しい地酒をいただきながら夜更けまで話し込んでしまった。
近いうちに一緒に何か作ろう!と盛り上がった。石巻でか、はたまた静岡でかはわからないが、今後の展開が楽しみ!!である。
(石巻 四倉氏と。昔の相方◯田と似てる⁉)
そして最後は、ワタクシの東北のベースキャンプ・花巻の『銀河の里』へ。
『銀河の里』は、独自の理念に基づき障がい者・高齢者と[共に暮らす]里の構想を次々に実践・実現されている社会福祉施設である。
ここを運営されているMさんには、10年以上前から一方ならぬ応援をしていただいており、コロナ禍で仕事がぷっつり途切れていた期間も、こちらの様子を気にかけてくださっていた。
昼過ぎに到着。里のワーカーさんやお年寄り向けの太鼓を使ったレクリエーションに参加し、夜はスタッフさん達向けにミニライブ。その後、太鼓を用いた里の取り組みに関して、自分なりの意見・提案などをさせてもらった。
(里の施設長・Mさんと)
ここに来るといつも、利用者さん達もスタッフさん達もみんな心穏やかで(単におとなしい、とは違う)、自然体で、でも一人一人はっきりと「じぶん」を持っていて、それを互いに認め合っているのを肌で感じる。そんな空気に触れているうち、ふと気がつくと「自分には何ができるんだろうか」と考え混んでいる自分がいる。
里のために、誰かのために、自分のために…
そうして、お土産にいただいたお米とワイン(里で作っている)を車に積み、なにか漠然とした「宿題」を胸に、帰路につくのであった。
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東北には大好きな人がたくさんいる。
この十数年の間に何度も訪れる度、たくさんの恵みをいただき、たくさんのことに気づかせてくれた。「何かお返しをしたい」などと考えるのはおこがましいとも思いつつ、少なくとも次に訪れる際には必ずなにかしらの足跡を残せるよう、ひとまわり成長していなければ…と、自分を奮い立たせてくれる、
そんな、大好きな土地なのである。
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約50年前、当時英哲師匠が在籍していた鬼太鼓座が行なった「ボストンマラソンをメンバー全員で走り、完走後に太鼓演奏する」という前代未聞のパフォーマンスを小澤さんは現地でご覧になり(小澤さんはボストンシンフォニーで指揮を振っておられた)いたく心揺さぶられたようで、「オケと共演できる曲があると良いね」ということから、懇意にされていた作曲家・石井眞木さんに依頼し誕生した曲が、和太鼓とオーケストラのための『モノプリズム』である。
この曲が1977年に尾高賞を受賞し、世界各国での上演の度に聴衆を熱狂させ大好評を得た。日本の太鼓が「民俗芸能の楽器」という領域を飛び出し、世界に通用する「独特の音色とパワーを秘めた異色の打楽器」として認められるきっかけとなった曲だ。
以来、国内外の作曲家によって数々の[和太鼓とオーケストラのための曲]が生まれているが、その中でも群を抜いて異彩を放つ「マスターピース」であると、常々師匠は仰っている。
この曲を引っ提げ、来週から早稲田大学交響楽団とともにドイツ〜オーストリア3週間の演奏の旅に出る。
ワセオケとのツアーは6年ぶり(学生オケだからメンバーは総入れ替えされてるはずだが)。
『モノプリズム』で舞台に上がるときは毎回「挑む」という気持ちmaxになる。
この曲誕生のきっかけを作ってくださった小澤さんへの追悼の気持ちも込め、若い団員のみんなとともに精一杯努めてこようと思う。
振り返って、先月末からのフランス・ナントの旅のレポートをば。
5年ぶりとなる、ナントでのビッグなクラシック音楽フェス[ラ・フォル・ジュルネ]への参加。
現地に足を踏み入れ胸を満たしたのは「ただいま!」の気持ち。
会場の雰囲気が、懐かしき現地スタッフ達のウエルカムな笑顔が、そして客席の熱気がそう思わせてくれるのだな。
アウェイ感ゼロ、なんと居心地の良いことか!
前述の『モノプリズム』と同時に誕生した太鼓楽曲『モノクローム(石井眞木作曲)』を演奏。
今回の音楽祭のテーマが「ORIGINE(起源)」ということで、この曲はまさにうってつけ、どストライクと思えた。ヨーロッパの聴衆ならではの、じっくり聴き込みともに高まり一体化して音楽する感じをビリビリ肌で感じ、鳥肌が立った。
3公演中の中日では、カーテンコールで師匠のバースデーを一緒に祝い、師匠も感激の様子だった。
オフ日には現地の舞台監督・モクタールがナント市内の観光案内をしてくれ、これまで知らなかったナントの名所・名物を知り、ますますこの地が好きになった。
(ナント旧市街のお城にて 日本/フランスの舞台監督2ショット)
遠き地を訪れ、そこをどれだけ好きになるかは、風景や食・イベント、利便性などいろいろな要因があるが、つまるところやはり「ひと」なんだなと、つくづく思う。
次回は、そんなことを再認識させてくれた[一人旅東北編]について、書こうと思います。
【ライブ チケット販売&ご予約 絶賛受付中!】
◆ 4月12日(金)和太鼓デュオLIVE「小泉謙一×はせみきた」
吉祥寺スターパインズカフェ
18:30開場/19:00開演
全席自由 前売¥4,000(+1drink)
◆ 4月25日(木)はせみきた 和太鼓ライブ@熱海
(ゲスト:朱鷺たたら)
熱海起雲閣 音楽サロン
13:30開場/14:00開演
全席自由 前売¥3,000
≫詳細・お申し込みは はせみきたHP https://www.granbeats.com/
]]>新年明けましておめでとうございます。
元旦から大変な災害に見舞われ、現在も辛い日々を過ごしておられる方々を思うと胸が苦しく、己の他愛もない発信をすることもためらわれた。とはいえ自分にできることといえば僅かながらの募金をするくらいしかなく、今は目前のやるべきことと真摯に向き合い、せめて、人々の活力を呼び覚ますような元気な音を届けられるよう、精一杯活動していこうと自分を奮い立たせている。
被災地の皆様が、早く平穏な日常を取り戻せますように。
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元旦恒例の、地元のショッピングセンター・サントムーンでの「新春和太鼓Live」では、同郷の太鼓打ちであり40年近くのクサレ縁(親友)でもある「土屋智明」と7年振りのデュオ演奏をば。例年に増してたくさんの方がご来場、大いに盛り上がった。
知人も大勢駆けつけてくれ、あれこれ差し入れもいただき感謝感謝。幸先の良い新年のスタートとなった。
さて「2024は精力的に動いていきます!」という年末の意気込みを実行に移していこうということで、今後のスケジュールをご案内させていただきます。
次の日曜日は、静岡・リバティーリゾート久能山にて静岡教室生とマルシェイベントに参加。
フード/アクセサリーほかいろいろな出店がある模様。我々はステージ演奏+太鼓体験コーナーを実施予定。久しぶりの冬の野外演奏、気合い入れてくゼ!
少し先になるが、4月には2本のライブを予定している。
まずは4月12日(金)、スターパインズカフェにて小泉謙一氏とのデュオライブ。すでにご予約受付中ですのでどしどしご連絡下されたし!
和太鼓Live[小泉謙一×はせみきた]
出演 はせみきた 、小泉謙一
[日時]2024年4月12日(金)
18:30 open / 19:00 start
[場所]吉祥寺スターパインズカフェ
[料金]前売4000円/当日4500円(別途1drink)
【チケットご予約・お問い合わせ】
公式HP「お問い合わせ」フォームからもお申込みいただけます
そして4月25日(木)には、熱海の起雲閣にてライブします。
この日はソロと、ゲスト朱鷺たたら(横笛)女史とのデュオをお送りします。
まもなく詳細発表しますので、しばしお待ちを。
来週からはなんと4年振りの海外!
コロナ前に3年連続でお声がけいただいた、フランス・ナントの音楽フェス「La Folle Journe」に英哲カンパニーとして参加。
帰国してすぐ学校公演、2月11日には熱海のACAO FORESTにて日本一の早咲きと言われる熱海桜をバックに[BOK・SUI]の相方・朱鷺たたら女史と野外演奏。
さらに2月末からは5年振り?の早稲田大学オーケストラとのドイツ〜オーストリアツアー。
今回は風雲7名で石井真木作曲「モノプリズム」をオケと共演。久々の海外長旅、楽しみ!(でも今年は彼の地が極寒らしいのと物価高騰&円安による大出費がコワイ…)
というわけで、ここから春まで一気に駆け抜けていきますぞ。
SNSやブログでなるべくマメに状況発信していきますので、どうぞお楽しみに。
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ところで。
このところ、毎年書き初めをしている。
心落ち着けて真っ新な半紙に向かうのはなかなかに清々しく良いものだ。真剣に筆を持てば、我ながらまあまあの出来にはなる(あくまで自画自賛)。
今年の文句は[不苛愉萬]。イラつかず万事を楽しもう!との気持ちで。書いてひと月、初心はすでに破られまくっているが(笑)。
その昔習字のならいごとはキライだった(道中わざと硯を割ってボイコットしようとしたこともある )。
今思えば、もっと真面目にやっとけばよかった。。。
はせみきた Official web site
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ようやく長きにわたるコロナの呪縛から解き放たれそう…と思いきや、あれやこれやの流行り病が飛び交い、海の向こうでは諍い・戦が頻発。我らが日本も物価高騰やら政治のスキャンダルやらで生活への不安が尽きず、なんとなく、せいせいと精力的に活動する気になれず…年の後半は自主企画のライブ等を一切行わずじまいとなってしまった。
とはいえ7月の豊洲コンサートをはじめ、沼津市制100周年記念公演や静岡での釜山芸術団とのコラボなど、大きな仕事にも数々取り組ませていただき、そこそこに忙しく過ごせたことは大変ありがたく、関係各所には感謝!感謝!です。
心機一転、来年はライブもたくさんやっていこうと絶賛計画中ですので、どうぞお楽しみに!!
振り返れば25年、なんとか「演奏家」としての道を歩んでこられたことには、我ながら「よく粘ったもんだ」と半分呆れながらも感心してしまう(笑)。
10代後半に「太鼓を打つ」という行為へとモーレツにのめり込んでいき、そこから今に至るわけだが、そんな当時の私の心に火をつけた一人が、前回紹介した「マサキ君」だ。
そしてもう一人。
“土屋智明”
愛称“ツッチャン”。地元沼津の『黄瀬川太鼓』の同期である。
小学〜中学と同じ。高校からは別々、太鼓の嗜好も少し違っていた。ツッチャンは「盆太鼓」「斜打ち」に目覚め、俺より一足先にそれらの腕を磨くため裾野、伊豆さらに東京へと武者修行に出歩いていた。そして高校卒業と同時に上京、太鼓のプロ業界へと足を踏み込んでいった。
少し専門的な話になるが…
「斜打ち」「盆太鼓」というと、小粋なバチさばきや華やかな振り・見栄切りといったところに注目が集まりがちだが、その基本的な打ち方・体の使い方の習得方法(メソッド)はとても理にかなっている。助六太鼓〜大江戸助六太鼓〜そこのスタープレーヤー達によって確立されていったと思われる「斜打ちのメソッド」は、様々な太鼓の打法を身につける上でも共通して役に立つスグレモノだと自分は思っている。
俺は高校卒業後大学に進学し、ひょんなことから寮の仲間達と『龍韻太鼓』というサークルを立ち上げた。
ツッチャンはちょくちょく静岡まで遊びに来て、俺やサークルのメンバー達に「斜打ち」を仕込んでくれた。彼に教わった「斜打ち」の基礎は、自分の演奏でも、教室生への指導の上でも大いに役立たせてもらっている。
そんなに頻繁にではないが、折々で声を掛け合って共演の機会を作って、互いの無事と近況を確認してきた。
そしてきたる2024年元旦、恒例となっている地元のショッピングセンター・サントムーンでの「新春和太鼓ライブ」を、ツッチャンとのデュオでやることとなった。
二人で作った曲、黄瀬川太鼓時代の曲のアレンジなど、この二人でしかやらない曲満載のステージとなる。
出所は同じとはいえ、長年にわたりタイプの違う太鼓をお互い突きつめている訳で、ノリの違いや音楽的な解釈の違いがあったりして、そこを互いに「歩み寄る」という作業がリハーサルでは必要になってくる。とはいえ「ケツの穴を見せ合う」に等しい仲だったヤツとのひさびさの手合わせは、やっぱり手放しに楽しい。
二人ともおっさんになって、やれ膝が痛いだ肩が痛いだ言いながらも、結局しっかりハードなパフォーマンスになってしまうのだから笑ってしまう。
普段見ることのできないハセミキタを見られるかもしれない「新春和太鼓ライブ」、お近くの方はぜひお越しくださいませ。
「サントムーン柿田川 新春和太鼓ライブ」
日時 2024年1月1日 10:00〜/11:30〜(時間は目安です)
出演 はせみきた 、土屋智明
会場 サントムーン柿田川 セントラルコート
入場無料
そして、ツッチャン所属のバンドのライブが南青山MANDALAで開催されます。こちらもぜひ。
↓
「Le Chiacchiere Live vol.28」
12月24日 17:00open / 18:00start
入場 ¥5000(1drink、パン付き)
配信 ¥2500(2週間のアーカイブ)
詳細はこちら
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あっと言う間に秋が駈け抜けて突然の冬到来、という感じだが、我が活動のほうも忙しくあちこちで演奏させていただいた。
伊豆の某中学校にて久しぶりの学校公演。
「講話」が中心の苦手なパターン(苦笑)だったが、
「意外と知られていない太鼓のはなし」や、太鼓奏者となるまでの歩みを振り返る話などを演奏を挟みながら。
インフルエンザのまん延防止対策のため急遽1年生と3年生はリモート配信となり、画面を通しての演奏や拙い話で生徒さんの心に響くものがあったか…心配(汗)。
11月に入っての3連休は石川県白山市へ。
毎年恒例の「太鼓エクスタジア」にチーム英哲として出演。
風雲の会は『七星』を、師匠は藤舎呂悦先生/貴生さん、麿赤兒さんと『海はかうかうと空に鳴り』を熱演。
各チームの演奏もさることながら、太鼓芸能の変遷・進化を順を追って味わえる構成や前日の講演/シンポジウムと、例年に増して主催者さんの意気込みを感じる中身の濃さであった。
そして、実に20年振りとなる沼津「郷土ふれあい太鼓」に出演。
市制100周年記念公演のために集まったスペシャルユニットで『長浜城 一の曲輪(いちのくるわ)』を演奏。
各チームの熱演、素晴らしかった。
さて、この公演終了後に驚きの「再会」があった。
30年振りの「マサキ君」との再会である。
…高校時代。太鼓へののめりこみがMAXに上がり、でもいろんな情報を集める術も知らずただ闇雲に楽器に触る時間を少しでも増やしたかった俺は、所属していた[黄瀬川太鼓]の会長に沼津市内の某他団体へ「出稽古に行かせてほしい」と申し出た。
ありがたいことに両団体から許可が下り、約半年間にわたって市内の東のはずれから西のはずれへ片道45分、自転車をかっ飛ばして稽古に押しかけていた。
そこで出会ったのが、一コ年下の「マサキ君」である。
身長は自分と変わらないが骨太のがっしりした体格。
太鼓の前に立った時の「収まり具合」が絶妙に良い感じだった。
そして、上手い!
めちゃくちゃ上手いのだ。
「三宅」や「屋台囃子」をやらせたら30〜40代のオトナ達にもひけをとらない、というか群を抜いて“光って”いた。
俺なんか足元にも及ばなかった。
(そう、ワタクシにもこれらの曲を何の知識もなく見よう見まねで必死でコピーしていた時代があるのです、オハズカシイ。。)
俺の中では彼は、当時沼津、いや県東部で3本の指に入る打ち手だった。
(そのエリア外はほとんど全く無知だった。
それでもって自分もギリギリ5本の指になら入れるんじゃないかと密かに思っていたのだから、これまた本当にオハズカシイ。。。)
リズム演奏もさることながら、とくに「打ち込み」が凄かったなあ。
自分は「吸収したい、目立ちたい、負けたくない」一心で、目を血走らせながら彼や周囲の人に負けじと食らいついてたのだが、彼はそんなのどこ吹く風で、激しい打ち込み稽古をさらりとこなす傍ら、どうやったらさらに良くなるかを一人静かに「研究」しているかのような様子だった。そして、勝手にライバル視して熱くトゲのある視線を送っていたであろうに俺に対しても、敵意で返すでもなく偉ぶるでもなく「ごく普通」に接してくれた。
そう、イイ奴だったのだ。
そんな彼が、眩しくてまぶしくて仕方なかった。
やがて高3の夏が終わり、いよいよ受験にむけて尻に火が付き始めるとともに出稽古にもいけなくなった。
進学して生活の拠点が静岡市に移り、マサキ君も進路を進め沼津を離れ… と、いつの間にか会うことがなくなってしまった。
…声を掛けられた時、すぐには誰か分からなかった。
マサキ君だと認識した途端、30年前の記憶がぐわっと湧き上がってきて、思わず彼の手を握りしめていた。
「あんたがいなかったら、俺は今ここに居ないよ!」
本心だ。本当にそう思う。
「ありがとう、なんだかわからないけど本当ありがとう!」と、溢れ出る感情を止まらない俺に「いやいや、そんなおおげさな」と、傍らに息子さんを連れて苦笑していた彼。今は神奈川県で暮らしているが、毎年のように「郷土ふれあい太鼓」は見に来ているそうだ。
来年また会えるといいなあ!
10代の、血がたぎり沸き立っていたあの時期に、幾人かの切磋琢磨し合える仲間、ライバルがいたというのは、本当に幸運だったなと思う。
そしてもう一人、そういう存在がいた。
それが、「土屋 智明」である。
(つづく)
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「まつり」は、たのしい。
闇の中 煌々と灯る明かりに群がるムシの如く、明るく賑やかな場所に引き寄せられ、知ってる人も知らない人も一緒になって「なんだかめでたい」などと言いながらやんややんやと浮かれ、羽目をはずす。束の間そこに集まった人々は貧富や優劣など日頃縛られている“鎖”から解き放たれ、同じ喜びを共有している「一体感」に包まれ、幸福に感じる。冷静に考えるとなんとも不可思議な「人の営み」であるが、世界中どこを見渡しても「まつり」は存在するわけで、我々の暮らしにはまつりというものが不可欠なのだな、とつくづく思う。
車もインターネットもなく「村社会」が生活の全てだった時代は去り、人々の行動範囲が国単位・さらには地球規模まで広がってきた現代。自分の住んでいるごく狭いエリアのコミュニティへの依存が薄れる中、“村”単位での「小さなまつり」が、存続の危機に立っている。
何年も前からその必要性を問われていた地域の小規模なまつりが、コロナの禍中 数年にわたって中断し、そのまま復活することなく消滅していくという現象は、全国規模で見て決して少なくないはずだ。
確かに「まつり」は、それを司る/運営する側に立ってみると、これほど煩わしいものはない、と感じたりもする。
何日も前からいろんな準備をしなければならない。よく知らない人たちと分担し、調整しながら役割を果たす。日頃からのコミュニケーションが薄いと、大した仕事でもないことに多くの時間を割かなければならなかったり、昔からのしきたりや「通例」という非合理的な手順に従うことに、時にはバカらしさを覚えたりする。
しかし、である。
歳をとり、免許も返上し遠くまで出かけられなくなったとき、何万という人波に揉まれなくとも、提灯の火が灯る神社までちょっとがんばって歩いたら祭囃子が聞こえてきて、いくつかの露店をひやかし、余興を楽しみ、10分足らずでも間近の頭上 夜空に咲く大輪を拝んだりできると思ったら、なんだか嬉しくないか。ひと昔前 共にまつりを回す側で働いた懐かしい顔に出くわし、互いの近況を語り合ったりできたら、幸せではないか。
一方で、
… 車や電車でちょいと時間をかけて出かければ、華やかで豪華な山車が出て有名人がパレードをし、夜には何万発もの花火が上がる「派手な」まつりがあるじゃないか。わざわざ自分らで時間と金を費やしてショボいものをやらなくとも。神社もあちこち統合して有名どこにまとめて合理化すれば …
このような考えも以前から自分の中にあって、いまでもふた通りの考えが頭の中で逡巡して、立場をはっきりさせられないでいる。
今年たまたま地域の役員の仕事が回ってきて、まつりや地域の行事の運営の端っこにかかわっていること、そして同じくたまたま、今年そういった「小さなまつり」に呼んでいただき演奏する機会が多かったこと、親や付き合いのある人たちがだんだんと高齢になってきたこともあってか、自分の「老後」についてもボツボツ思いをはせつつ、こんなことをフト考えてしまう、秋の夜である。
都会で暮らす人や、一つの土地に根を張りそこに骨を埋めることに頓着しない人にとっては、いまいちピンとこない話かもしれませんね。
昨今 国内各地で頻繁に発生しているクマの問題や、世界的な地域紛争の問題と同じく、他所の人間がとやかく口を挟むことがはばかられる、デリケートな一面もあり、、、
ナカナカムズカシイ問題である。
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この夏〜秋は、地元の大小のイベントやお祭りに数多く声がけいただき、有難いかぎり。
先週は三島・楽寿園での「セセラキ祭」にて大リスペクトのドラマー/音楽家の佐藤正治さんと共演。10/9には静岡市民文化会館にて「日韓文化交流公演」に出演、釜山芸術団(サムルノリ)との共演も控えている。“ミュージシャン筋肉強化期間”真っ只中である(笑)。
さて、先月の『沼津市制100周年記念公演 Special Art Stage 〜 響宴』での演奏が大変好評だったということで、本年の沼津芸術祭『郷土ふれあい太鼓』公演に急遽出演し、『響宴』で上演した「長浜城 一の曲輪(くるわ)」を、10月29日に再び沼津市民文化センターの大ホールで演じることとなった。
市制100周年の今年、沼津芸術祭は50回目の開催となり、『郷土ふれあい太鼓』は第21回目からだそうだから、今年で30回目か!と思いきや、第47/48回がコロナ感染拡大防止のため文芸以外の芸術祭が開催中止となったため、今回が28回目だそうだ。
まだ10代の頃。
地元の「黄瀬川太鼓育成保存会」でお世話になっているときに、『郷土ふれあい太鼓』がはじまった。
まだ「太鼓フェスティバル」的なイベントが決して身近ではなかった当時、同じ市内で活動していても横のつながりが薄かった各太鼓団体が一堂に会して、ともに一つのステージを構築しながら技を競い合う場というのは、とても“刺激的”だった。自分は世間知らずの若造でただ打ち手として参加し楽しむだけの無責任な立場であったが、市の文化協会からの提言を受け各団体に声かけをした我が「黄瀬川太鼓」の森田会長はじめ、初期にこの公演の成立成功のために多大にご尽力された各太鼓団体の親方衆たちのご苦労は並々ならぬものがあったはずと今になって思い、感謝しきりである。沼津の芸術活動の柱の一つとして[太鼓]が広く認められるようになったのは、この“芸術祭への参加”が大きいと、自分は思う。
そして個人的には、中高生の頃から太鼓にのめり込んでいき、他グループに出稽古に出かけたり作曲に挑戦したり、グループ内の練習も積極的にリードするようになっていた時期だったので、芸術祭への参加は自分にとって年に一度の、いろんな意味での“成果発表の場”であり、劇場の舞台で演奏する気持ち良さ難しさに気づくことができた、貴重な経験だった。視野を広げ、たくさんの縁を繋いでくれた。この場がなければ、ひょっとしたら[太鼓奏者 はせみきた]はいなかったかもしれない。
そんな『郷土ふれあい太鼓』への出演は、なんと20年振り。
プロの演奏家という立場になってからは芸術祭に参加することはなくなったのだが、2003年、静岡県での国体開催にちなんだ「スポーツ芸術」という催事の総合プロデュースを自分が仰せ付かり、沼津の太鼓団体の演奏を主体とした公演内容を構成したご縁で、その年のふれあい太鼓公演にゲスト出演させていただいたのだ(いや懐かしい〜)。
プロと自称し駆け出しもいいところだった自分のなんちゃってプロデュースに付き合ってくれ「スポーツ芸術」イベントの成功に大いに力を貸してくれた上、芸術祭の場に“プロのゲスト”として自分を迎え入れてくれた20年前。
今回「芸術祭50回目」という節目に再び、縁あってゲスト出演させていただけるというのは、本当に感慨深い。
おこがましくも「地元への恩返し」という気持ちを込めて、精一杯努めさせていただこうと思う。
あくまで主役は各出演団体・そして「郷土ふれあい太鼓スペシャルユニット」のみんな。
彼らの勇姿を、ぜひ見に来てください!!
第50回沼津芸術祭『郷土ふれあい太鼓』
出演:愛鷹太鼓保存会、白隠太鼓、和楽器操り団“音三昧”、和太鼓「新」
はせみきた&郷土ふれあい太鼓スペシャルユニット
[日時]10月29日(日) 12:30開場/13:00開演
[会場]沼津市民文化センター 大ホール
[料金]全席自由 300円
《チケット問い合わせ先》
沼津市民文化センター 055-933-2059
または はせみきたHP「お問い合わせ」よりメールにてご連絡ください
その他 はせみきた出演情報の詳細は
]]>朝家を出ると爽やかで涼しい空気が漂っていて、稽古場へ向かう山道を窓全開で快適ドライブ、なんて日もちょくちょくあったりして、少しずつ秋の気配が近寄ってきてるのを感じて嬉しくなってくる。
前回投稿の「ネガティブ波」がだいぶ遠ざかってくれたので、なまった体とココロを鍛え直そうと、新しい稽古メニューを考案、稽古場に上がる度に必ずはじめに取り組むことにした。
まだまだ暑い日が多いので、長時間の稽古は集中力が切れてしまう。短時間で、とりわけ[左手強化]に重点を置いたメニューをギュッと凝縮、20分そこらでできるように詰め込んだ。
自分で組んでおきながら、なかなかハードである。
できないことをやってるのだから当然か。
今の若い打ち手たちはよく手も回るしパワーもあるし、これくらいのことは朝飯前にできてしまうのかもしれないな〜。
まあ他人と比べても仕方ない。俺は俺。ひと月でもふた月でもつづけて、そのうち鼻歌交じりでサラリとできるようになれば…と淡い期待を胸に、地味〜に頑張っている。
(特訓メニュー、アップアップしながら取り組んでる動画をYoutubeにアップしました。ヒマな方は冷やかしに見てください 笑)
さて、来たる9月1日に大きな舞台が待っている(もう明後日だ 汗)。
本年、沼津市の市制100周年を記念した『Special Art Stage 〜 響宴』という舞台に、メイン出演者の一人として参加する。
[フラメンコ]久保田晴菜、[クラシックバレエ]芹澤創、[和太鼓]はせみきたの三本柱。
太鼓の独奏に加え、地元チームからの有志[郷土ふれあい太鼓スペシャルユニット]との演目、フラメンコの晴菜さんとのデュオ、そしてフラメンコバンドとのセッションシーンもある。なかなか見応えのある内容になりそうだ。バレエとの絡みはなし。
久しぶりに、沼津の太鼓愛好家の方たちと一緒に演奏する機会を得たのは、とても嬉しい。
幅広い年代の[仲間]と接点を持つことができた。この縁がまた新たな展開につながればと、淡い期待を持っている。
今回は運営面でも、地元で長年にわたり芸術祭等を通して市の文化活動の支柱として貢献してこられた舞踊教室の先生方に混じって、実行委員の一人として関わらせていただいたことも大きな経験となった。
前日(つまり明日)から会場入り、仕込み〜リハ〜ゲネプロと重ね本番に臨む。
ここ数日は、前述の「特訓メニュー」からの『響宴』の稽古をみっちり重ねてきた。
ひとり稽古は割と好きな方で、共演者のおとや動きを想像しながら音を紡ぎ出していく作業は、なかなか楽しい。
積み重ねてきたものがいよいよ、かたちになる。
ゾクゾクしてくる。
はせみきた Official Web Site
]]>お暑うございます。
酷暑そして台風…「強烈」がひっきりなしに襲ってくる日々。「今日を乗り切る」ことで精一杯になっているのは、自分だけだろうか。
東京豊洲でのコンサート『海、たうたうと』を終え早ひと月。皆様への報告・ご挨拶を急がねばと思いつつも、なかなか筆が進まない(すでに死語か?)日々が続きまして。。。というわけで、まずはその辺りから。
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
コンサートにご来場くださった皆様、ありがとうございました。
シンプルな構成の中に、今持てる技量を結集させて、やりたい表現・伝えたいメッセージを割とストレートに発信できたのでは、と思っております。
各方面よりお褒めの言葉もいただき、ほっと胸をなでおろす次第。
素晴らしきゲスト、小濱・小山両氏と煽り煽られの熱演。ホール空間を満たす豊かな響きを、そしてその響きを客席/ステージの垣根を超えて共有する幸せを分かち合えたことが、なによりも嬉しかった!
支えてくれたスタッフのみんな、開催に向け協力・ご支援くださった方々に、心より感謝。
(コンサートの模様が HPギャラリー でご覧いただけます)
⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐⭐
さて、ここからは公演後数週間に渡る裏話。
[演奏家・はせみきた]と[個人事業主・ハセガワ(本名)]が入れ替わり立ち替わり現れ、心情をぶちまける(苦笑)。
みっともない「ネガティブみきた」をさらけ出しますので、ご容赦くださいませませ。
いわゆる「自主企画」の公演を行うにあたっては、背負うものも多く、重い。
[はせみきた]の場合、公演開催の前も、そして後も、日々の暮らしに及ぶ負担は決して少なくない。ヒラタクイエバ、オサイフノハナシネ。
豊洲公演を終え、はせもハセガワも、かなり疲弊していたようだ。
ぶっちゃけ「もういいかな…」という心境が数週間、胸を占めていた。
「しんどい、もちこたえられないかも」「周りに迷惑かけどおしだわ」(ハセガワ)
「もう、やりきっちゃったかも」「次のイメージが湧いてこない・・・」(みきた)
「やる意味あんのか??」(ハセガワ)(みきた)
これはもう、タチの悪い持病みたいなもので、不規則な周期を持って襲ってくる「ネガティブスパイラル」だ。何度となく食らってきたから「また来たな」と冷静に受け止めてる自分もいるが、今回はどうにも抗えずどっぷりと浸ってしまった。
そんななか、風穴を開けてくれたのが「インプット」だった。
・師匠が「面白いぞ」とオススメしてくれた、Youtubeの動画。
・たまたま見た、テレビ番組(山下洋輔さん、コロッケさん)。
・先日師匠の道場に遊びにこられたドラマー・堀越彰さんと尺八・小濱氏のユニット[Lotas Position]のライブ(アーカイブ映像)
・盟友・小泉謙一の出演していた対バンライブ『わっしょい』の、出演者各氏のパフォーマンス。
・教え子・堀越唯人(三宝会)の期せずして訪れ意地でやり遂げたソロパフォーマンス(ビデオ)。
上記の動画や生のパフォーマンスが、「おぉー」「やっぱすげぇ」「う〜ん」「え、なにこの〇〇!」「これは使えるかも」「そっかーこういう見せ方(聴かせ方)が…」「なるほどねえー」「うわっはっは」「いけーがんばれぇぇ」と様々に心を動かし、「あれ試してみたい」「俺だったらこうやる…かな」「くっそーかなわねえ」などと、お尻がムズムズする感覚を思い出させてくれた。
少なくとも[みきた]は、これらのインプットによってかなりモチベーションを取り戻している。
[ハセガワ]はまだ「おいおい、また同じ轍を踏むつもりかよ」と苦虫噛みつぶした面しているが(笑)。
ありがたいことに夏〜秋にかけて大小バラエティに富んだ演奏仕事の依頼をいただいているので、
一つ一つの仕事にしっかり向き合い、真摯に取り組んでいこうと思う。
次なる自主企画のアイデアも、じわりと湧いて来た。(実現できるかは全く未知数だけどね)
そんなわけで[ネガティブみきた]はほぼ脱却、なるべく日を置かずして演奏情報&レポートやノーテンキな日々を発信して行きたいと思います。
どうぞ皆様、見捨てずお付き合いくださいますことを。
「インプット」、本当に大事ですわ。
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舞台道具の準備、グッズの手配、プログラムの原稿作成、衣装のチェック等、あれやこれやの作業や取りまとめで毎日バッタバタである。
先週16日に、ゲストお二人/スタッフも集合しての舞台リハを自宅からほど近い裾野市民文化センターにて実施。
皆で全体の流れを確認、本番へ向けての追い込み気分が一気に高まった
翌17日は、三島のライブハウス[ぐらBar's]にて、小山豊氏とデュオライブ。
当日稽古場でのパパッとリハのみで臨んだライブだったが、いやあ楽しかった!
豊くんのスキルの高さ、対応力の凄さに脱帽。ますますコンサートが楽しみになりましたぞ。
ところで今回のコンサート、セットリストを眺めてみると、10年前にリリースしたアルバム『オトダマ』からの楽曲が多い。CDとは微妙にテイストが変わってたりすると思うので、良かったら久々にCD引っ張り出して、ご一聴ののちコンサートに臨まれるのも一興かと。
『この三年余り、私たち「舞台表現者」は多くの活動の場を失い、淀みに漂う
水泡のようでした。
それでも世の中は、とどまることなく移ろい変化していく…。
空間を満たす音楽とその場の熱量を「共感」できる喜びを。
胸張って「自分のおと」と言える表現の追求を。
すばらしきゲストのお力添えを賜りながら、豊洲の舞台で 皆様とともに。』
コンサートチラシに、この公演に寄せて書いたメッセージだ。
今回上演する演目一つ一つに、そして公演全体を通して、ここに記した思いを詰め込んである。
「自分のおと」の追求は、あいも変わらず試行錯誤と挫折の繰り返しであるが、時おり求める姿の全貌がおぼろげに見え隠れしているような気がしていて、その片鱗を一瞬でも皆様にお見せできたらいいなと思っている。
これまでのコンサートの中で最もシンプルで、どストレートな内容かもしれない。
それでは、豊洲でお会いしましょう!
はせみきた Official Web Site
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ちょっと特殊なワークショップの依頼をいただき、先週の金曜に実施してきた。
さる企業で新規プロジェクトチームが立ち上がり、そのチームビルディングの研修の一環として太鼓に取り組みたい、というオファーである。
ワークショップはこれまで数えきれぬほど行ってきたが、基本的には「太鼓をやりたい」「ハセに習いたい」という姿勢で集まってくる人向けに行うのが常だ。
今回は、参加者13名で全員未経験者、おまけに太鼓に取り組むということも知らずに来るらしい(笑)。楽器も多数必要な上、3時間弱という限られた時間の中で簡単な曲に取り組み、参加者の皆さんが達成感を得られるようなところまで持っていかなければならない。
この困難なミッションをやり遂げるための相棒は、言わずと知れた[小泉謙一]一択。
前日にズミ氏と合流、事前の打ち合わせ/準備を念入りにすませ、沼津の名店「豊亭」で英気を養う。(メニューは餃子、手羽揚げ、野菜炒め、レバニラしかないがどれも絶品!例によって写真撮り忘れた)
当日。
会場は伊豆「ラフォーレ修善寺」。
朝イチに入り、大急ぎで搬入・準備。
9時からの3時間、あっという間だった。
内容は企業秘密だが、我ながら良い仕事をした(笑)。
こちらとしても相当にチャレンジングな仕事であったが、参加者の皆さんはとても熱心に、メンバー同士和気藹々と楽しみつつも協力しあって、このハードなミッションをやり遂げてくれた。ポーランド人の社長さんも参戦。普段から雰囲気の良い会社なのだろうなと感じた。
日を置かず、とても嬉しい感想が届いた。
『はせさんと小泉さんの、元気で、明るく、礼節がある、わかりやすいご指導のもと、短い時間にもかかわらず、メンバーで力を合わせて”チームサウンド”を作り上げることができました。
楽しい雰囲気で、全員が主役となる曲作りでは、チーム内で程よいコミュニケーションが可能となり、チーム内では一体感が生まれました。最後に出来上がった曲を全員で演奏した時は、達成感がありました。「すごく楽しかった‼」「良い経験ができた‼」「太鼓って、格好良いよね」など、
研修前まではあまり会話がなかった間柄でも、太鼓アクテビティをきっかけにコミュニケーションが生まれています。』
我々にとっても、本当にいい経験となった。感謝!
この日は夜に三島教室があり、以前の教室生・ギルバートが5年振りにベルギーから来日、顔を見せに来てくれた。うちの教室で太鼓を始めて以来、ベルギーに帰ってからも彼の地のTaiko Schoolに通い続けているそうで「近い将来 HASEセンセイを呼びたい!」と言ってくれている。
自分を求めてくれる、頼ってくれる人がいることの幸せ!!
これこそが太鼓稼業を続けていける原動力であり、生きていく糧なんだなあ。
2日後の日曜日には、沼津市内の太鼓チームからの有志たちが三島の稽古場に集結。秋に行われる大舞台に向けての稽古を行った。間も無く情報公開できるので、お楽しみに。
東京・豊洲のコンサートまで、あとひと月。
https://www.granbeats.com/schedule/
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マジで忙しかった。
前回投稿の「裾野市文化協会 総会講演」に始まり、
翌週は昨年の「秋の叙勲」で受賞された、沼津の保護司さんの叙勲お祝い会でのソロ演奏、
その翌週は津軽三味線・山中信人さんにお声がけいただき「山中信人vs.◯◯奏者」への出演、
さらに翌週は「日本刀×和太鼓×Breath」のユニット[錬磨]での音楽フェス『関西音酒場』への出演、
と言った具合に、全く内容の異なるパフォーマンスの連続だった。
教室の方も4月から新シーズンがはじまり、各教室共に新曲や新規レッスンプログラムの組み立て/準備におおわらわ。さらに7月の豊洲コンサートに向けての打ち合わせ・楽曲準備に資料作り・プロモーション活動もやらねばならず、息つく暇もなくあっという間に毎日が過ぎていった。
そしてGWは、英哲師匠と金沢/東京でのクラシック音楽メインのビックイベントに出演。
大曲「モノプリズム」「レオナール、われに羽賜べ」「若冲の翼(LFJ2023バージョン)」と超濃厚なプログラムのオンパレード。既存のレパートリーだがどれも新しいアレンジが加わり、稽古/リハ/本番とも緊張が続き、面白かったがなかなか大変だった。。。
コンサートまであとひと月半。
内容も固めなければだし、チケットも売らねばならない。
一人でも多くのお客様に、興味と期待を持って豊洲に足を運んでもらいたいと思い、コンサートに関連した5つのテーマに沿ったトーク動画を撮り編集、Youtubeにアップしました。
コンサートのサブタイトル「海、たうたうと」に込めた思い、会場のこと、ゲストについてなど、つらつらと喋ったものを10分くらいにまとめてます。ご高覧いただけましたらありがたし。
思いを言葉に変換し、簡潔にまとめ、伝わるように話す…というのは、本当にムヅカシイ。
今回の動画しかり、先月の講演しかり、先週の土曜に出演した、ラジオのトークもしかり。
本当に伝えたいところになかなかたどり着けなかったり、いつの間にか脇道に逸れてしまったり、適切な言葉が浮かばず誤解を招くような表現になってしまったり。
終わった後に、たいてい落ち込む(演奏でもよくあるが 苦笑)。
でも、こういう作業を通して、漠然とした自分の考えが少しクリアになって、活動の方向性が定まったり、曲作り/舞台構成のヒントが見えてきたりもして、「ああ、大変だけど大事なことだな」と思う。
先日、ゲスト二人との第一回のリハーサルを敢行。
イメージが音に、形になっていく。
今度のコンサートは、奇をてらった演出などは極力控えて、シンプルに一曲一曲の世界観を味わってもらおうと思っている。
「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに」
井上ひさし氏の言葉、俺の座右の銘だ。
是非とも多くの方に、会場にお越しいただきたいと思ってます。
ご家族ご友人お誘い合わせの上、そして多くの方にご吹聴いただき、豊洲に足を向けていただきたく。
なにとぞよろしくお願いします。
(来月、三島の「ぐらBar`s」にて小山豊氏とのデュオライブも急遽決定。こちらもお楽しみに!)
はせみきた 公演情報の詳細は こちら(公式HP)
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桜が満開、春爛漫。
そして、新年度のスタートである。
年度の切り替わり、日記調に綴ってみた。
(3月31日)
久しぶりに丸一日、稽古場に篭りきりとなる。
うれしい悲鳴ではあるが、このところ直近の仕事に追われつつ夏/秋口に向けて長期で取り組むべき案件も複数抱えていて、あれもやらねばこれも詰めねばとワタワタするばかりでどれも片付かない日々が続いていた。終日外部との接続を断ち創作作業・稽古に没頭することで、かなり仕事もはかどり脳ミソの中も整理できた。こういう環境を持てる幸せを噛みしめる。
(4月1日)
地元・裾野市の文化協会の総会にて「和太鼓〜郷土芸能から舞台作品へ」というタイトルで実演を交えた講演をさせていただいた。
(人前で喋ることについて、周囲からは得意だと思われているようだが自分では決して得意とは思っておらず、人知れずかなりの時間と労力をかけて準備とシュミレーションを重ねております、ハイ 汗)
世界の太鼓と比較した「和太鼓」の特徴、およそ50年ほど前「和太鼓」という呼称が用いられるようになる以前の「日本の太鼓」の概要、新興の「和太鼓文化」の良い側面と危惧すべき側面…などについて、師匠から学んだことと実体験・持論を交えてお話しした。
日頃から地域の文化振興に寄与されている人たちを前に、少々エラそうな物言いに聞こえる部分もあったかと思うのだが、参加された方々みな熱心に聴き入ってくださり、ことのほか好評だったようで、ホッとした。
(4月2日)
昼間、柄にもなく、近所の写真館に「家族写真」なんぞ撮りに行く(笑)。
夕方、ドラマーで作曲家の「佐藤正治」さんのソロライブを聴きに、自転車で三島に向かう。
(ライブ会場の三島・ぐらBar`s)
行きはずっと下り。8.5kmもなんのその。
正治さんは伝説のバンド「ヒカシュー」のドラマーで、作曲家・プロデューサーとしても第一線で活躍されている。三島出身で現在は熱海にお住まい。自分のような若輩者にも気さくに声をかけてくださる、尊敬する大先輩である。
圧巻のドラムソロに加えギター弾き語り、雅楽の笙の原型と言われる「ケーン」やウェーブドラム、エフェクトを効かせたヴォイスなど多種多様な音を操って繰り広げられる正治ワールドに、どっぷり引き込まれた。曲間にさりげない口調で語られるMCの中にも、今の自分の心に響く話がいくつかあって、本当に「聴きに行ってよかった」と思えるライブだった。
正治さんの音楽の「器」の大きさ!
ドラムソロの「うたごころ」!
表現する音から体から放たれその場を満たす「自由」の幸福感!(ん〜うまく表現できない!)
音楽と、楽器と、とことん向き合い遊び尽くしてこられたからこその、表現なのだと思う。楽しさも苦しさも全てが昇華された先に生まれる、幸福の音楽…?
正治さんのようなプレイヤーになりたいと、心から思った。
打ち上げにも混ぜていただき、8.5kmひたすら上りの帰路も、幸せいっぱいでペダルを漕ぐ(腿と尻はパンパン!)。
帰宅後、坂本龍一氏の訃報を知る。
ライブで相席となった絵本作家の「宮西達也」さん(『おまえうまそうだな』の作者!)が、ご自身の作品映画化の第3作目の音楽を坂本氏が担当されたという話を伺ったばかりだったので、呼吸を忘れるほど驚いた。
ゆく川の流れは絶えずして しかももとの水にあらず
淀みに浮かぶうたかたは かつ消えかつ結びて 久しくとどまりたるためしなし
世の中にある人とすみかと また音楽も、かくのごとし。
心からご冥福をお祈りします。
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先日ライブをやった、小濱明人・小山豊両氏をゲストに迎える。
スターパインズカフェでのライブは本当にゴキゲンだった。
長年にわたり共演を重ねてきた小濱氏の尺八本曲はさらに深みを増し、オリジナル楽曲の端々にもその片鱗が現れていた。
小山氏とは初の共演。軽妙なトークとともにさらりと奏でる津軽三味線、その音色の良さ!パンチの効いたオリジナル曲はライブとなるとプレイのあちこちに遊び心が散りばめられて、翻弄されながらもめっちゃくちゃ楽しかった。
このトリオで、いまや定番にもなりつつある[ 太鼓・尺八・津軽三味線 ]という組み合わせをさらなる領域へと引き上げ【新時代のあたらしい邦楽スタイル】の確立に挑みたいと思っている。
すでにチケットの先行販売も始まってます。
お求めはぜひお早めに!詳細はホームページをご参照ください〜。
さて、昨日 20年来の友人であり変人(笑)の造形作家・白砂勝敏氏の個展「再生のムジカ〜漂流する音〜」に呼ばれ、ライブイベントに参加。
静岡の海岸に流れ着いた漂流物(ゴミ)たちが、楽器に早変わり!
晴天ポカポカ陽気の広場に、4人の奏者が奏でる大小様々なプラスチックの残骸や金属・工具の放つ意外な音色が響き渡り、たくさんのお客様が熱心に聴き入ってくれた。
何を打っても「和太鼓に聴こえる(見える)」とお褒め?いただきましたが、それはワタクシが「それしかできない」からであります(笑)。
元[ようそろ]相方の岡田寛行との数年ぶりの共演も実現。
最後は弟子の片岡亮太、白砂氏と4人で大セッション。楽しいひと時だった。
このセッションライブ、3月21日(火・祝)にもう一回やりますのでお楽しみに!
PM2:46には東北に想いを馳せ、会場の皆で黙祷を捧げた。
過去数回のツアーで知り合った福島・宮城・岩手の皆さん、お元気ですか?
今年こそは数年ぶりに、皆さんに会いに行きたいと思っとります!
(写真は2016年の東北ツアーにて、気仙沼「太鼓学舎・ね」の皆さんと)
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今年は自分は年男。
50になる前にフルマラソンに挑戦しようかな〜と、特に理由もなく漠然と思い立ち、年末から長いこと遠ざかっていた「長距離ジョギング」を復活。週一で7kmからはじめ、翌週は10km、次週は12kmと少しずつ距離を伸ばしている。
いまのところ呼吸系の苦しさよりも、ひざ関節周りの筋へのダメージが思った以上で、寄る年波を実感して凹んでいる(苦笑)。
さて、本職の演奏について。
新年一発目は元旦、コロナで3年のブランクをおいてようやっと開催された、地元のショッピングモール・サントムーン柿田川での「新春和太鼓ライブ」。
小泉謙一とのデュオ演奏に多くの人が買い物そっちのけで見入ってくれ、大いに盛り上がった。
昨年末からズミ氏とのデュオが活発で、来月にも埼玉でのライブが控えている。
ライブをはじめ様々な現場を踏んできたズミ&はせの安定の演奏・そしてバリエーションに富んだパフォーマンスに、ファンも増えてきている模様。今年は二人でライブツアーなんぞしたいなあと思っております。
そして今年は、この「トリオ」にも、ご注目いただきたいのだ!
はせみきた(太鼓)/小濱明人(尺八)/小山豊(津軽三味線)
きたる2月26日、吉祥寺スターパインズカフェにてこの3人でのライブ『音魂夜会`23 冬ノ陣 〜打 吹 弾 独奏合戦』を開催します。
小濱氏とはこれまで数々のライブ・コンサートで共演を重ねてきた。
落ち着いた佇まいから悠然と立ち上る古典本曲の世界、そして時折姿を表す若獅子のような躍動感あるアドリブ演奏。
会う度に広がりと奥深さを感じる彼の音楽世界。ひさびさの共演、非常に楽しみだ。
小山氏とは度々現場でお会いしているものの、共演は今回が初めて。
津軽三味線の一大流派・小山会の三代目でありながら、その背負っているものの重さを感じさせない自由奔放な音楽活動。
それらの現場で培った「音づくり」へのこだわりが、打ち合わせの会話の中でもビシビシと感じられた。
今回のライブでは、三者の純度の高い音楽を味わってもらうため「独奏」シーンをふんだんに盛り込む予定。
小濱・小山両氏には伝統スタイルと革新スタイルの両側面を垣間見れるような内容をリクエストしている。
自分は久々の「トビウオ(独奏)」と大太鼓曲で挑もうと思う。
この3人での共演は初めてなので、トリオ/デュオの演奏がどのようになるか、ただただ楽しみでならない。曲目は…ナイショ。
一夜にして色々な楽しみ方ができる、とってもおトクなライブになるはずですぞ。
開催は一月後。どうぞお早めのご予約を。
『音魂夜会`23 冬ノ陣 〜 打 吹 弾 独奏合戦」
出演:はせみきた、小濱明人、小山豊
[日時]2月26日(日) 18:00open / 18:30start
[場所]吉祥寺スターパインズカフェ(吉祥寺駅東口より徒歩4分)
[料金]全席自由 前売4000円/当日4500円(+1drink代)
↓ライブの詳細・ご予約は↓
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