早稲オケワールドツアーレポート2

旅も半ばを過ぎ、後半に突入。

団員の学生さんたちとも少しずつ打ち解けてきて、楽しい旅を送っている。

 

このツアーには2〜4年生が参加。ほぼ全員が海外ツアーは初めてで、今回のためにパスポートを取ったという学生も少なくないそうなのだが、全く物怖じせず役割分担しながら皆で協力してワイワイとこの大所帯の旅を動かしているのが凄い。

 

コンサートの際には「運搬班」が搬入・搬出をやってくれ、「ステージ班」が楽器の組み立てのサポート&本番の転換を受け持ってくれる。移動や旅の日常では「付き人」さんが見事なアテンド&あれこれ痒いところに全て手が届く如くに世話を焼いてくれる。我々ゲストにとってはまさに「大名ツアー」だ。

先輩たちから脈々と受け継がれているノウハウやエピソードが生きている賜物だろうか。さすが早稲田、一人一人のポテンシャルが高い。演奏のクオリティも素晴らしい。

各会場とも満席に近いお客さんが入っていることにも本当に驚く。このツアーを長年先頭に立って率いてこられている永久名誉顧問の田中先生の人脈とご尽力には心から感服。

 

さて、前回の続き。

ウィーン。極寒でした。。。

楽友協会ホール。歴史の重みが響きにも現れるような空間だった。これでもかってくらい大変な搬入出、運搬班がよく頑張ってくれた!

どこを切り取っても絵になる街並み、たくさん歩いてみたかったが寒さに負け…それでも師匠と二人でレオポルド美術館に行きエゴンシーレの作品展を堪能。シーレ天才ですな、いやぁハマった!

 

再びドイツに戻り、ハンブルグ。

歴史を感じる倉庫街(写真へたくそで伝わらないね 苦笑)。そのなかにひときわ大きくそびえ立つかっこいい現代建築が(写真には写ってない)、エルブフィルハーモニー。2年前にオープンしたばかりのコンサートホールで、日本のオーケストラがここで演奏するのは今回が初めてだという。中心にステージがありそれを囲むように複雑に入り組みながら上へ上へと連なる客席。どこで聴いても、楽器が発するあらゆる音が埋もれることなくしっかり聴こえる。極上の「クリアな音場空間」だった。

早稲オケの演奏も我々が加わっての「モノプリズム」もありがたいことに各地で大好評、熱烈なスタンディングの拍手をいただいた。

 

そしていよいよ、ある意味今回の山場であるベルリンへ。

とうとうやってきました、ベルリンフィルハーモニー‼

ハンブルグのエルブフィルを「クリア」と例えるならベルリンフィルは「豊か」「円熟」だと感じた。

箱鳴りというのか、ホール自体が持つ独特の響きが、本当に心地よい。エルブフィルもそうだが、こういう素晴らしいホールで聴くと、思わずステージの上を見上げて、そこに浮かぶ見えない「音像」を眺めてしまう。

 

公演前夜、ベルリンフィルのコンサートを鑑賞した。

クラシック音楽にはまったく疎い自分であるが、モーレツに感動した!

オケという「いきもの」が歌い叫び息を詰めそして吐き出す、その躍動に圧倒され、息を呑み、心躍る2時間だった。ベルリンフィルはまず第一に迫力がすごい。maxで弾き込んだ時の音のデカさ!その直後に張りつめた一本の糸のような細い細いロングトーン。さざ波一つ立たない水面に一滴の雫が落ち、二滴三滴と徐々に増えていくそのざわつきがいつの間にか怒涛のごとく押し寄せてくる。プレイヤーは一人一人自分のスタイルで心のままにに演奏しているようでいて、気後れすることも浮き足立つことも一瞬たりとてなく完璧なアンサンブルを展開していく。だから音に濁りが無い。でもただ「完成品」を披露されてる感じでなく、その場でものすごい音楽が生まれている瞬間を目の当たりにしていることを実感でき、すこぶる興奮した。

 

一夜明けて、早稲オケ公演。

昨夜のあのものすごいコンサートと同じステージで演奏するというだけでも本当にすごいことなのに、なんと全世界テレビ中継つき。そして永久名誉顧問の田中先生自ら指揮台に立つ。幾つものスペシャルが重なり、ステージ上もバックヤードも緊張や不安が漂いつつも、一生に二度はおそらく無いであろうこの貴重な経験を目一杯味わおうと、みんな集中していた。モノプリズム、静寂の中から5つの締め太鼓の微かな刻みが重なっていくシーンは、これまでで最もいい表現ができたのではないかと思う。公演の様子はインターネットでアーカイブを視聴できるそうですので是非チェックを(詳細は改めてお知らせします)。

 


師匠林英哲、松尾芸能賞大賞受賞

今日はタイコ担がず、スーツ担いで東京へ。

向かうは、帝国ホテル。

 

我が師匠・林英哲が、「第38回松尾芸能賞」の「大賞」を受賞、その授賞式に出席させていただいた。

 

郷土芸能から伝統芸能、映画やテレビに至る幅広い分野にわたり、演者・クリエーター・裏方さんまで含めた「芸能」に携わる関係者の中から、特に優れた活動をしている人・団体を表彰している「松尾芸能賞」。

これまでの大賞受賞者は、第1回の杉良太郎から先代の市川團十郎、森光子、舟木一夫、蜷川幸雄、仲代達矢、北島三郎、山田洋次、花柳壽輔…と、各界の錚々たる面々(敬称略)。その中でなんと、楽器奏者としては今回師匠が初の大賞受賞者となった。

 

表彰の前に、師匠の生い立ちとこれまでの活動をまとめた映像が流れ(俺は舞台袖にいたので映像は見られず、ナレーションに耳を傾けるのみだったが)、その後師匠登壇。すでに感極まった様子で、表彰を受けた後の挨拶では声が震えていた。本当に、本当に素晴らしい挨拶だった。

 

新人賞の遠藤千晶さん、優秀賞の堀内孝雄さんに続き、芸披露。会場の事情で大太鼓演奏がNGで、一尺八寸の宮太鼓1台で「太鼓打つ子ら」を披露。我々風雲は、いつものように声とモーションで背景となった。うたい、空を打ちながら、これまでのいろいろな出来事、語り聞かされた話が次々とよぎり、こみ上げてきた。

 

 

数々の出会い、別れ、分岐点、壁、追い風向かい風の中で

研ぎ澄まし、磨き上げ、追い込み、壊し、育て、生み続けてこられた

その足跡を

昨年の芸道45周年→本年のソロ35周年というこのタイミングで、「賞」という一つの形として

社会に評価された。

 

よかった、本当によかった!

 

 

林英哲の弟子であることを、心から誇りに思う。

同時に「お前は何をしとるんじゃ!」と、自分のケツを思いっきりひっぱたいてやりたい気持ちで、一杯である。

パーティー後河岸を変え、師匠を囲んで飲んだドイツビールの旨さと苦さが、やけにいつまでも舌に残りつつ、帰路に着いた。

 

 

 


審査(其の壱)


明日から、怒濤の英哲沖縄公演(二泊三日)だ。


先日の記事でも書いたが、僕の教え子・片岡亮太が、御殿場で行われる太鼓イベント『富士山太鼓まつり』の「一人打ちコンテスト」に出場した。

本年は全国各地から70数名がエントリーし、7月27日に予選、翌28日に本選が行われた。
亮太の結果は、残念ながら予選落ち。
だが、彼はこのコンテストへの挑戦を決め僕のレッスンを受け自分と向き合う多くの時間を通して、貴重な経験を積んだようだ。

彼自身のブログの中で、その思いが記されている。
僕のことをずいぶん持ち上げてくれていて気恥ずかしいが、彼の率直な思いに触れ胸が熱くなると同時に、心から嬉しく思う。


第三者の表現について「善し悪し」のジャッジをするということは、ある意味非常に簡単なことかも知れないが、ある意味では非常に難しく、怖いことである。

今回、亮太を通してコンテストの概要が記された資料を見て、そこに記されている「審査の基準」に目を通し、また当日審査員の顔ぶれを見、実際の参加者たちの演奏に触れて
「う〜ん。。。。」
と唸ってしまう自分がいた。
(これについては後日詳しく述べたいと思う。決して否定的な訳ではない。異は唱えるが。)

僕自身が太鼓という媒体を通して表現することに見いだす価値観と、この大会で求められる価値(そしてそれは、世間一般の人々が太鼓に求める価値(魅力)と、どのくらい一致しているのだろうか?)との間に、かなりの開きがあるのを感じたのである。


実は、自分自身の表現という見地から言えば、ここに述べている「違い」というのは、正直どうでもいいことだと思っている。
ではなぜこんなことにくどくこだわっているかというと・・・

今月末、関東地区の高校生の太鼓コンテスト的なイベントで、審査員を仰せつかっている。
公の場で、ジャッジをする立場となるのだ。(つづく)



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太鼓奏者・はせ みきた

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